この前、駐車場に停まっている兄弟のバイクに横付けしてバイクを停めた。
兄弟が戻ってくるまでバイクの上で昼寝をした。
実は足を後ろに向けるとクラウンのシートみたいに快適に寝る事が出来る。
12:30に駐車場に集合のはずがいっこうに現れないから、
連絡をしたところ病院が混んでるからまだかかるって事だった。
俺と俺の兄弟は全員エンジニアをしている。
パソコンをカタカタして良い大学を出たやつにツールを作ったり、働くための設定をしたりする仕事。
もちろん、そいつらと話したりもする。
この仕事は筋力的には非常に楽で、出社する必要もない事もある。
俺なんかがそう。
あまりに筋力を使わないから、久しぶりに友達と話すと表情筋が筋肉痛になったりする。
フワッとしとお客の願いを、労働法よりも厳しい強度で自動化するのが俺たちの仕事。
マシュマロをあずきバーに変えるような仕事だ。
兄弟は何度目かの心の病気にかかってる。
肉体的にはゲロったりして、精神的には現実感の喪失をしたりするらしい。
聞こえない声が聞こえたり、見るものが見えなくなったりする。
バイクの上から見える木の葉っぱを眺めて、そのさらに先の空に飛行機が飛んでいた。
どこかの空港に向かうあの飛行機からは、駐車場にいる俺の事は見えないと思う。
病院の建物すら認識してないかもしれない。
つまり空高く飛ぶ飛行機から見ればどうでもいいような存在なんだなって思った。
俺はエンジニアになって場所に縛られないような生活が出来れば、より旅人として幸せに生きられると考えて今の仕事を始めた。
実際にはそうはなっていないけど。
金の為に、
誰かのマシュマロをあずきバーに、絵空事を現実に変えるために働いてるけど、
空高く飛ぶ飛行機からみるとどうでもいいような事
おれの旅人としての幸せ、兄弟が求める何かのために、
このどうでもいい世界が、もう少し世界が生きやすくなったら良いなって思った。